本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


<本 編>






∴‥∵‥∴‥∵ 深夜警備 ∵‥∴‥∵‥∴


投稿:さそりさん(男性・宮城県)
執筆:雲谷斎



     これは会社から頼まれて、深夜警備の代務に行ったときの話です。

     町外れの山沿いで、道からも少し離れたところに大きな場外券売り場が
     あります。

     ここは夜になると、職員を含めて日常警備員も帰ってしまいます。
     つまり、深夜はまるっきり自分一人きりになるということです。
     通用門はすべて施錠され、鍵はオーナー以外では深夜警備の私だけしか
     持っていません。

     もちろん、場内はすべて厳重に施錠されているので、仮に誰かが忍んで
     来たとしても、いちいち鍵を開けなければなりません。
     また、巡回も鍵を開けてはすぐ閉めて、先に移動するという巡回方式な
     ので、後ろについてくることさえ不可能です。

     深夜の巡回は二回あります。
     初めのときは職員たちが残っていないか? または鍵のかけ忘れはない
     か? などを中心に見回ります。

     そして、深夜に二回目の定時巡回があります。

     昼間はあれほど騒がしいのに、無人の場外券売り場は広大な分、よけい
     に閑散とした印象があり、照明の落ちた場内は不気味さに包まれていま
     す。

     へその下に力を入れ、懐中電灯を片手に巡回を始めます。
     まずは建物の一階からです。
     しばらくは何も異常はなかったのですが……。

     
ある場所で、懐中電灯の光の輪に、
                     
ふっと影が移動したのです。




     それに伴って走る足音も……。
     侵入者か? と怖さ半分で警棒を握り締め「神妙にしろ!」と一喝しま
     した。

     でも、すぐにおかしいことに気がつきました。
     一階には窓がなく、通路ごとに扉がありますが、ちゃんと施錠されてい
     るのです。

     鍵は両側からかける形式なので、合鍵がなければ絶対無理です。
     もし仮に開けられたとしても、いちいちまた施錠するような侵入者がい
     るでしょうか?

     隠れるところもなく、そう……まるで煙のように気配が消えたんです。

     もちろん場内をくまなく調べ、通用門も調べましたがすべて厳重に施錠
     されています。
     影だけなら見間違いということも有り得ますが、走る足音まで……。

     自分は多少霊感はありますから、たまに見えたり聴こえたりします。
     この場所は兵どもの夢の跡……何かあるんでしょうかね?




    
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<本編「深夜警備」データ>

     ■原作投稿者:さそりさん(男性・宮城県)
     ■2006年度 読者が選ぶランキンランキン第10位  72.20点
     ('06年に発行した逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果)

     投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。

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