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<本 編>
∴‥∵‥∴‥∵ 許してくれた ∵‥∴‥∵‥∴ |
| 投稿:翡翠さん(女性・山形県) 執筆:雲谷斎 |
あれが起こったのは、私がまだ中学生だった頃。 同じクラスだった女の子が突然亡くなったのです。 ほんとうに突然というか、あっけなく死を迎え原因も不明でした。 親御さんでさえ、そんなことになるとは思いもよらず、体調が悪いとい う彼女を入院させ、やっと入院の手続きも一段落した後のことです。 自分たちの遅い夕食をとるために病室を出てすぐに、彼女は眠るように 息を引き取ったというのです。 * 彼女とは中学のとき同じクラスでしたが、ほとんど会話をしたことがあ りませんでした。 席が離れていたということもありましたが、それ以前に小学生の頃、 私と彼女の在籍するグループが対立するようなことがあったのです。 もちろん、小学生という子供のグループ対立ですから、そんなに深刻な ものではなかったし、お互い喧嘩をしていたわけではなく、なんとなく 虫が好かないといった程度のものでした。 それでも、なんとなく私には苦手のような意識がありました。 そんな苦い思い出があったのですが、やはりクラスメイトです。 私はお通夜に行き、彼女のちょっと寂しそうに笑っている遺影を見るに つけ、どうして生きている間にわだかまりを解かなかったのだろうと、 とても悔やみ、泣きじゃくりました。 その日の夜。 私は悲しくてなかなか寝つけず、時おりうつらうつらする程度でした。 あれは、もう明け方だったでしょうか……。 部屋のベッドサイドの電気、机の蛍光灯、そしてなんとはなしに人の声 を聴いていたくて点けていたラジオ……。 パチッ! ![]() 一斉にそれらの電源が落ちたのです。 私は田舎の娘でしたから、かなり広い部屋を使っていて、電源は三カ所 別々のところから引いていました。 不思議なことに、たこ足配線でつながっていた電気毛布などはちゃんと 点いたままだったのです。 もちろん、プラグの緩みなんてありません。 そのとき、私にはピンと来るものがありました。 部屋のカーテンを開ける勇気はなかったのですが、 『亡くなった彼女が逢いに来てくれたんだ!』 直感のように、私はそう感じました。 彼女はきっと許してくれたんだ、と……。 「ありがとう! ほんとうにありがとう!」 私は見えない彼女に心からお礼を言いました。 次々と、とめどもなく涙があふれてきました。 そして、プラグを全部抜いてもう一度差し込むと、いつもどおりにすべ ての電気が繋がったのです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <本編「許してくれた」データ> ■原作投稿者:翡翠さん(女性・山形県) ■2006年度 読者が選ぶランキンランキン第2位 76.50点 ('06年に発行した「逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果) 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |