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<本 編>
∴‥∵‥∴‥∵ 立入禁止 ∵‥∴‥∵‥∴ |
| 投稿:凛凛さん(女性) 執筆:雲谷斎 |
これは法事に行ったときに起きた、奇妙な出来事です。 法事は田舎の方でやるということなので、私と旦那は法事のある前日に、 地元の旅館に泊まりました。 その旅館はとてもきれいだったので、ほっとした気分でした。 泊まった部屋には大きな窓があって、そのすぐ外には沼が望めます。 でも、湖ならまだしも、沼というのがちょっと引っかかっていました。 夜が更けて、さぁ寝ようとしたとき、ちょうど私の頭の上にその窓が くるのです。 目を閉じると、暗い夜の世界から忍び込んでくるかのように、窓の外か ら繰り返し、ピチャピチャ……ピチャチャ……と沼の水音がしています。 私は妙にそれが気になって、なかなか寝つけませんでした。 何度も寝返りを打ち、疲れてやっと寝つけると思ったそのときです。 ビリッ! と電気が体を走るように金縛りに遭い、もう眠るどころでは なくなってしまいました。 それでも、なんとか寝ようとするんですが、ウトウトとする度に、何度 も金縛りになってしまうのです。 それはまるで、誰かが故意に目覚めさせようとしているかのようでした。 その繰り返しが朝の四時まで続きました。 ちょうど一番鶏が鳴く頃でしょうか、どこかから鶏の声が聴こえてきた のと同時に、スゥーッと金縛りも解けて、やっと眠れたのです。 朝、寝不足の頭でボーッとしながら、旦那に夜中にあったことを話しま した。 旦那は黙って聞いていたのですが、聞きながらふと部屋の中をさまよわ せていた視線をピタッと止めました。 「おい……あれ、あれは何だ?」 入ったときは気がつかなかったのですが、比較的広い部屋の奥の方に、 目立たないドアのようなものがあるのです。 ドアには『立入禁止』と書かれた、少し褪せた紙が貼ってあります。 部屋にもうひとつ部屋があったなんて、全然知らなかったのです。 しかも、立入禁止というのは意味深です。 つまり、開かずの間……。 旦那が思い切って開けてみました。 と……中から冷たい空気が、サァァァーッとこっちに流れてきたのです。 その部屋は使っていない浴室とのことでした。 私はたまらなく怖くて、旦那に何も詳しく訊けませんでした。 夜中にしつこくかかった金縛りや、沼の水音ももしかしたら浴室からの 水音だったのかも知れないと思うと、怖くて怖くて……。 あの部屋には、いったい何があったのでしょうか……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <本編「立入禁止」データ> ■原作投稿者:凛凛さん(女性) ■2006年度 読者が選ぶランキンランキン第5位 74.55点 ('06年に発行した「逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果) 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |