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<本 編>
∴‥∵‥∴‥∵ 値踏み ∵‥∴‥∵‥∴ |
| 投稿:怪獣童子さん(男性・愛知県) 執筆:雲谷斎 |
私が妻と婚約し、初めて妻の実家に泊まったときの出来事である。 その夜、私は妻の死んだ祖父母が使っていたという四畳半の部屋に床を 取ってもらった。 深夜、ふと人の気配を感じて目を覚ますと、音もなく押入れが開く。 すると、中から妻の死んだ祖母がすぅーっと出て来たのだ。 祖母は私の枕元に立つと、ゆっくりと腰をかがめて私の顔をじぃーっと 覗き込んだ。 その瞬間、私は直感的にあることを理解した。 「ああ、これはおばあさんが可愛がっていた孫娘の結婚相手は、いった いどんな男だろう、と見に来たんだな……」 祖母は、しばらく無表情のまま私の顔を値踏みするように見ていたが、 やがて背筋を伸ばすとわざわざ足元へと廻り、ぽんぽんと布団を踏んで 左側の吐き出し窓から出て行った。 祖母の出て行った方向には、1キロほど先にお墓がある。 私には祖母はそこへ帰って行ったんだとわかった。 ただ、しばらくの間、なぜ祖母が押入れから出て来たのかわからなかっ たが、考えると仏壇の前には寝ていた私の頭があったので、それを踏み つけないようにと気を使ってくれたのではないかと思っている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <本編「値踏み」データ> ■原作投稿者:怪獣童子さん(男性・愛知県) ■2006年度 読者が選ぶランキンランキン第7位 74.20点 ('06年に発行した「逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果) 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |