本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語



『逢魔怪奇探偵団』事件簿
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   怪異の現場へ探偵団が飛ぶ!
        
 『逢魔怪奇探偵団』事件簿

     


雲谷斎は、どこにもなかったエンタメホラー小説を執筆中です。

実話投稿+フィクションという、誰も読んだことのない創作読み物
で、シリーズ14作目に入っています。


次々と襲ってくる怪奇現象に襲われる、雲谷斎と探偵団たち。
本当に起きた怪異の怖ろしさと 雲谷斎や探偵団たちのおバカ
キャラ全開の笑いを楽しんでください。

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 逢魔が時物語に寄せられた実話投稿+フィクションという未知の読み物。

 マジで、じわじわと人気が広がっています。こんな小説は今までなかった
 からでしょうね。じつは雲谷斎も執筆しながら面白さを楽しんでいます


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   エンタメホラー小説★怪異の現場に探偵が飛ぶ!


 「逢魔怪奇探偵団」事件簿2

   県立心霊小学校【チーム「奇志団」出動】

                    
                       雲谷斎・著



 ■第一章 うわばみフーさん


 【怪奇探偵団 チーム「奇志団」】
 探偵団の中では、怖いもの見たさの好奇心旺盛な者たちから成るチーム。


 東京広しといえども、武蔵野の面影を留めるところはもうほとんどないが、
しかし都内某所、奇跡的に雑木林が残されているところがあった。

 その中に、信じられないような古色蒼然とした洋館が建っている。
 煉瓦作りの門柱には、OMA―PROJECTと記されたプレートが嵌め込
まれていて、古ぼけた建物の二階の部屋に明かり点いていることから、誰かが
住んでいるのは間違いない。

 年代物の大きな机の前で、パソコンのキーボードを叩いているのは、雲谷斎
という人物である。やや白いものが混じる長めの髪、鼻の下に髭をたくわえ、
坊さんのような作務衣を着ている。
                                 2 

 【おもな登場人物】

 雲谷斎…………逢魔が時物語の主宰者。探偵団の団長

 ◆チーム奇志団
 探偵団の中では、怖いもの見たさの好奇心旺盛な者たちから成るチーム。

 こねこ……ホラー映画と猫好きのパート主婦。千葉県。
 フーさん…慎重派で背がひょろ長いデザイナー。京都府。
 かりん……論理パズル好きの失業中OL。大阪府。
 柴田陽子…物書きを生業とする女性ライター。東京都。
 愛良………アイドルほしのあきに似ているOL。兵庫県。

 サトリ……メールマガジン読者(投稿者)
 めぐみ……メールマガジン読者(投稿者)
 捺稀………メールマガジン読者(投稿者)

                                 1



 ドアを開けると、ひょろ長い体に笑みを浮かべた男が立っていた。京都のデ
ザイナーで、チーム「奇志団」のメンバーのフーさんである。

「こんにちは、雲谷斎さん。東京に仕事で来たさかいにちょっと寄らせてもろ
たんですわ」
「ああ、そうかいなぁ。よう来てくれたなぁ、まぁ入ってちょんまげ」
 二人は関西弁全開で、しばらく世間話に華を咲かせた。

「ところで雲谷斎さん、探偵団の第一回目はどこへ行きますのん?」
「いや、それがやなぁ、まだ決まってへんのや」
 タイミングのいい会話がはじまる。

「ほな、学校とかどうですか? 学校の怪談って定番やし、逢魔が時物語メル
マガでも投稿が多いですやん」
 フーさんがぐっと身を乗り出してくる。

「学校か……なるほどなぁ、学校はアリかも知れんなぁ……」
 雲谷斎がそう相槌を軽く打っただけで、フーさんは畳み掛けてきた。
                                 4 
 この雲谷斎という人物、「逢魔が時物語」という怪談メールマガジンとサイ
トを長年趣味で運営している。
 聞くところによると、この洋館は大金持ちの伯父さんから遺産として譲り受
けたものらしい。

 先日、雲谷斎は「逢魔怪奇探偵団」という怪しい組織を結成した。
 これは怪奇現象の起こる現場を訪ね歩こうという、はなはだ不謹慎かつ好奇
心丸出しの会のことで、メンバーは二十人にもなる。

 さらにメンバーは、個性や能力に応じて四つのチームに分けられている。
 そろそろ記念すべき正式な活動をしなければいけないのだが、雲谷斎はどの
チームに声をかけて、どこを訪問するのかを決めかねていた。

 パソコンにも疲れてきたので、一階のダイニングでコーヒーでも飲もうかと
席を立ったとき、コンコンと玄関の木製ドアを叩く音がした。

「はいはい、どぉーれ、どちらはんでっかいなぁ?」
 いい加減な返事をしながら、雲谷斎は二階から急いだ。
                                 3



 ■第二章 小学校のトイレ

 気持ちいい青空の下、校舎から湧き出すように聴こえてくるのは、子供たち
が「はい!」と一斉に答える元気のいい授業の声だ。

 ここは東京都に隣接する某県立小学校。
 無邪気ではつらつとした声を耳にする限り、この小学校はどこにでもあるご
く普通の学校である。
 校庭では真っ白の体操服を着た子供たちが、先生の笛の音に合わせて汗を流
している。何も知らない者は、この学校で異変が多発しているという噂など、
到底信じられないだろう。

 が……逢魔が時物語メールマガジンに寄せられたいくつかの投稿は、この学
校で異変が起こったことを告げている。

 これはもはや偶然とは言えない。
 何人もの投稿者の口から語られる驚くべき事実は、内容はそれぞれ違うもの
の、一見何の変哲もないこの学校が震源地になっていた。
                                 6 
「はーい、決定! 一回目は学校の怪談ツアー、チーム奇志団で行きましょ。

ほな祝杯ということで、雲谷斎さんなんか酒ありまへんか?」
 そう言いながら、すでに目はキッチンの方を探っていた。
 うわばみフーさん、恐るべしである。













                                 5



 このメンバー、暴走し出すと押さえのきかない困った面々だが、一方ヤバイ
と思ったときの逃げ足は天下一品でもある。
 そして、先ほどから興味津々の顔つきのメンバーに、逢魔が時のメルマガに
投稿した読者二人が案内人として加わり、何やら懸命に説明している。

「ねぇねぇ、ホントに学校の中に入ってもいいんですかぁ?」
 スッピンと言ってもいいほど化粧っ気のない主婦、こねこは目をキラキラさ
せて話に割って入った。
「ええ、大丈夫ですよ。私たちこの学校の卒業生ですから、今回のことは先生
にも内々に了解を取ってますし」
 投稿者のめぐみは得意げにそう言った。

「やったぁ! ほな、授業が終わって子供たちが帰ったら、すぐに入らせても
らいましょか?」
 強引にこのチームを駆り出したフーさんは、ニヤニヤとうれしそうだ。
「決定! そしたらみんなで喫茶店へ行って、アイスクリームでも舐めながら
時間つぶししましょう」
 本当はビールの方がいいのだが、昼間でもあるし二番目に好きなアイスで手
                                 8 
 学校の正門前に佇む怪しい大人たちがいる。
 人数は七、八人。PTAの者にしては年齢がばらばらで、着ている服もなん
となく学校関係者に似つかわしくない。
 正門の中をしきりと覗き込むようにしながら、なにやらひそひそと話し続け
ている。

「へぇ、この小学校がねぇ……そんなけったいなことが起こっているようには
見えへんけどなぁ」
 口髭をひくひく動かし、背伸びするように中を見ながらしゃべっているのは
雲谷斎だ。

 その雲谷斎を中心に多くの男女が集まっているが、そのうちの五人は逢魔怪
奇探偵団のメンバーだ。

 総勢二十人の探偵団の中から今回集まったのは、チーム奇志団というメン
バーで、失業中のOLかりん、DIYのパート主婦こねこ、中小企業OL愛良
(あいら)、グラフィック・デザイナーのフーさん、物書きの柴田陽子という
最も野次馬根性が旺盛なキャラで構成されている。
                                 7



 四角い大きな黒い口を開けた一階の入り口が、次々と探偵団を呑み込む。
 ひんやりとしたコンクリートの廊下に沿って無人の教室が続いている。
 探偵団は校舎に入ったときから、なぜか無口になってしまった。
 遠くから潮が満ちてくるように、五感とは別の感覚が何かを察知しているの
かも知れない。

「この廊下の先が問題のトイレなんです」
 めぐみは少し声をひそめて言った。
 探偵団はめぐみに案内されて、一階の女子トイレの前に立った。
 プーンとかすかにトイレ特有の匂いが漂ってくる。
 トイレの中にはドアが閉まった個室が五つほど並んでいた。
 みんなは廊下から首を突き出して、ためらいがちにトイレの中を覗く。

「何を迷ってるんですか? さ、中へ入ってみましょうよ」
 陽子がいちばん後ろから、手帳にメモを取りながら事務的に声をかけた。
 すでに物書きという職業意識が目覚めているのかも知れない。
 探偵団のみんなの目が(じゃ、お前が行けよ)と陽子に集中する。
 そんな視線に押し出され、陽子はしまったと思いながらトイレの中へ足を一
                                 I 
を打とうというノリで、かりんはさっさと喫茶店に向かって歩きはじめた。
 その後について、妙な一団がぞろぞろと喫茶店に吸い込まれていく。

 一時間ちょっと経つと、さっきと同じようにぞろぞろと喫茶店から一団が出
てきた。
 すでに下校時間は過ぎ、校内には子供たちは一人もいない様子だ。
「では、入りますか?」
 誰が言うともなくそんな声が上がると、正門から探偵団は校舎をめざして歩
いて行った。
 
 雲谷斎は先頭に立ち、投稿者のめぐみと真剣に話している。
「……ああ、やっぱりトイレがヤバイんですかぁ? オモロそやなぁ」
 この後、奇妙な現象が続発することなど夢にも思わず、脳天気な会話をして
いる。

 校舎は見た目よりも年数が経っているようで、全体に薄汚れ、コンクリート
の壁には細かい亀裂が雲の巣のように走っていた。
 静まり返った三階建ての校舎には、骸のような窓が整然と並んでいる。
                                 9



 空耳ではないのかと疑いながら、探偵団全員がトイレの中に耳をそばだてて
いると……。

「……うぅぅぅ、いた……た……け…………」

 奥の方の個室辺りから、か細い女の声がした。
 みんなはその場に固まってしまった。
 探偵団の女性の誰の声でもない、弱々しくおぞましい声だった。
 噂は本当だったのか……という思いがべったりと思考を閉ざした。

 消え入るような声が、また聴こえてきた。
 さっきより、はっきりと。
「ううぅぅぅぅ……いたい……たす……け……てぇぇぇぇ」

 今度こそ、そこにいた全員が怖ろしい声を耳にした。
「う、うわーっ! なんじゃい、今のんは」
 雲谷斎がずりっと後ずさりする。

                                 K 
 歩踏み入れた。
 しっかりしているようで、どこかドジなところがある陽子は足元のトイレの
段差を無視していた。
 ズルッ。
「キャア〜〜〜!」
 床が濡れていたのか、陽子はマンガのように転びそうになり、情けない悲鳴
を響かせた。

 と、そのとき……。
 コンコン……。ドアをノックするようなかすかな音が悲鳴の後に聴こえた。
 トイレの入り口付近にいた何人かはその音を耳にした。

「あら、今何か音がしたんじゃな〜い?」
 ほしのあきにどこか似ている愛良が、目をくりくりさせて場違いな弾んだ声
を出した。
「えっ、何か音がしたってホンマかいな?」
 すでに逃げる体勢に長身を曲げて、フーさんが小声で愛良に訊ねた。
 愛良はうれしそうに、うんうんと頷いている。
                                 J



 ■第三章 鏡のある踊り場

 トイレとは反対の廊下の端に明かりが点いている部屋があった。
 職員室である。まさしくそこは安全地帯のように頼もしく見えた。
 大騒ぎをしながら走っていくと、職員室から先生がのそっと出てきた。

「どうしたんですか? やっぱり何かありましたかぁ」
「(何かありましたかはいいが、やっぱりというのはないでしょう)」と思い
ながらも、息を切らせて先生にトイレで起こったことを口々に話した。
 
しばらく黙ってそれを聞いていた先生は、ちょっと困ったような、少し悲しげ
な表情をつくって、やがて重い口を開いた。

「……他言しないでほしいんですが、じつは、この学校の建っているところ、
戦争のときに犠牲者が大勢出たらしいんですよ。今でも時々、痛いよーとか、
苦しいよーとか、助けを求める幼い泣き声が聴こえるという話が絶えないんで
すよ。一度、供養はしたんですけどねぇ……」
 一同はそんな悲惨な過去を聞いて、ちょっと神妙に頭を垂れた。
                                 M 
 みんなもそっと後ろを向きはじめ、逃げ出そうとう体勢取りはじめたとき、
いきなりバーン! と個室のドアが閉まる激しい音がした。
 そのとき、まだ個室の方を見ていたかりんは目にしてしまった。

 いちばん奥の個室のドアが中へ少し開き、その後ものすごい勢いで叩きつけ
るように閉まるのを。

「ふぇぇぇぇ〜〜!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
 不甲斐ない叫び声を上げながら、探偵団と投稿者たちは蜘蛛の子を散らすよ
うにトイレからドタバタと逃げ出した。







                                 L



いてないので騒音がしたということはあり得ない。

 戦争の犠牲者の中には子供たちも大勢いたという。
 もしかすると生徒たちの帰った後、姿の見えない子供たちがうらやましさに
我慢ができず、戦いのない平和な教室で思わずはしゃいでいたのかも知れない
……。
 そう思うと、二人の先生は不憫でいたたまれない気持ちになったという。

 その話を聞いて、めぐみをはじめ愛良、こねこ、かりん、陽子は少し涙ぐん
でしまった。
 男たちも下を向いたまま唇を噛んでいる。

「あ、そうだ! 三階へ上る階段の踊り場は行ってみました?」
 しみじみと哀しい話をした後、唐突に先生は明るい声でそう言った。
 この先生、かなり気持ちの切り替えが早いようだ。
「踊り場……そこ、何かあるんですかぁ?」
 こねこがまた一番に声をあげた。すでに目がキラキラ光っている。

■この後、探偵団たちはとんでもない恐怖に遭遇します。続きは下記へから。 
「あ、そうだ……こんな不思議な話もあるんです」


 めぐみの担任だった先生の語る話は、さらに悲しかった。

 生徒たちが下校した後、ある先生が二階の教室でテストの採点をしていた。
 暗くなってきた教室で採点をしていたところ、血相を変えて保健室の先生が
走り込んできたという。
 しかし、教室のドアを開けたとたん、保健室の先生は拍子抜けしたような顔
になった。

「先生、どうかしたんですか?」理由を問いただしてみると、
「大勢の笑い声と、子供が走り回るような音が聴こえてきたので、生徒たちに
早く帰れと注意しに来たのだが……」と言う。

 保健室はこの教室の真下にあるので、騒ぐ音がしたのは間違いないと言うの
だ。
 教室で先生が採点をしている間、もちろん自分一人だけだし、ラジオなど聴
                                 N


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