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ここは「笑」の部屋です
−鬼火−
■■■Y.Sさん(男性)からの投稿■■■
| 私の父親が子供の時(戦時中)に、今はもうなくなっていますが当時はまだ 在った蜜柑の木がある屋敷の庭に、蜜柑泥棒に入った時のお話です。 そこのお爺さんが蜜柑の木をとても大切にしていたため、普段はそのお爺さ んが見張っていて、蜜柑を誰も盗むことが出来ませんでした。 そこで、そのお爺さんが亡くなった葬儀の日の夜に、見張りがいなくなった ので、チャンス到来とばかりに近所の悪童たちと一緒に、父親も蜜柑を失敬 しに行きました。 懐中電灯の灯りを頼りに、皆でその庭に忍び込んで蜜柑の木を懐中電灯で照 らすと、美味しそうな蜜柑がたわわに実っていました。 オオーッと喚声を上げたかどうかは知りませんが、ともかくもお目当ての蜜 柑が成っていたので一安心し、おもむろに仕事に取りかかりました。 しばらく蜜柑を夢中で収穫して、周囲を見回す余裕が出来た頃でしょうか。 誰かが「あれは何だ?」と、不思議な光る物体のある方を指差しました。 皆がそちらの方に目を向けると、亡くなったお爺さんが住んでいた屋敷の屋 根の上の方から「人魂」らしきものがユラユラと飛んで来て、 蜜柑の木の周りをユラユラ揺れながら、 ゆっくりグルグルと飛び回り始めました。 これにはさすがの悪童達も度肝を抜かれたのか、皆が皆ウワーとかヒエーと か驚いた時に発する声を出し、腰を抜かしたのか尻餅をついてしまう者、木 から落ちそうになる者などがいましたが、次の瞬間にはせっかく採ったばか りの蜜柑を放り出して、一目散に自分の家に向かって転がる様に逃げ帰った そうです。 家に辿り着いても、とても怖かったので全員が布団を被って朝が来るまで、 ガタガタと震えていたそうです。 私の父親が「人魂」を見たのは、後にも先にもこの時だけだと、今でも話し ております。 (wa189) |